梅舒適(1916-2008)

 戦後日本を代表する篆刻家・書家の梅舒適(ばいじょてき・1916-2008、本名:稲田文一)は大正5年(1916)大阪に生まれました。大阪外国語学校支那語科卒業後は商社員として中国に駐在していましたが、戦後は篆刻家として身をたて、書法篆刻の学術研究団体「篆社」を創設。昭和23年(1948)に書が日展の一部門となると、翌年に特選、46年には内閣総理大臣賞を受賞しました。日本篆刻家協会理事長・日本書芸院理事長・日展評議員・西泠印社名誉副社長などの要職を歴任し、国内外で書芸術の普及発展に貢献しました。

 「梅舒適コレクション」は梅舒適が約60年の歳月をかけて収集した文物と梅自身の作品を総称するものです。作品を通じて明末から中華民国時代までの芸苑(書・画・篆刻)の流れを概観しうるのは、梅舒適コレクションの大きな魅力といえるでしょう。令和元年(2019)度・3年(2021)度にわたって兵庫県立美術館に寄贈されました。


呉昌碩《還樸精廬》近代(梅舒適コレクション)

呉昌碩《紅梅図》近代(梅舒適コレクション)

呉昌碩《「美意延年」白文方印》近代(梅舒適コレクション)